「人事は『ひとごと』だよな!どうにかならないの?」
私が同期からよく言われた言葉です。
その時にいつも思うのが、
他人事(たにんごと)のつもりはないのだけど。。
何でそう思われてしまうのだろう。。
でした。もちろん、権力や政治が好きな『ひとごと人事』も知っています。その存在は否定できません。
ですが、私が見てきた多くの人事は、従業員のためにハードワークする方ばかりでした。真摯で誠実な方が多かったです。決して「ひとごと」と言われるような仕事をしている方は少なかったです。
私が感じるに、こう言われてしまう原因は「人事への先入観」や「人事の立場」が問題かなと思っています。もちろん、態度が悪い人事もいるので、そういう方は除いてです。
今回、そんな先入観を少しでも緩和すること、人事の立場を理解していただくことを目的に、「人事が『ひとごと』『他人事』になる原因」と「不満は経営層に伝える」ことを解説します。
【この記事で伝えたいこと】
・人事にそんな権限はありません。
・人事は板挟みでいつも悩みます。
・不満を直接改善したいなら、経営層へ助言することが一番です。
人事への不満一覧
人事が「ひとごと」と言わせてしまうのは、従業員の不満を解決できないからです。そんな多くの方が感じたことであろう人事への不満を、以下で紹介します。そして、人事の立場で少し言い訳もさせていただきます。
お互いの立場を理解することで、少しでも建設的な話ができることになると思いますので!
【ひとごと事例】
・事務手続きが遅い。急ぎの要望に対応してくれない。
→処理件数が多くて個別対応ができない。郵送などの処理もあり物理的にそもそも不可能。
・福利厚生の線引きが謎。騒いだら対応してくれるのは不平等。
→社内公開はしないが、内規で対応しているので一定のクオリティーは保っている。
・人事異動が現場を無視している。
→人事異動のトリガーは職場や経営陣。人事が「人」を指定できるほど権限がない。
・スペックが低い新卒を入社させる。
→人事も見るが、職場の管理職が最終ジャッジを行なっている。
・マッチしない中途者を入社させる。
→人事には判断が難しく、職場の管理職が最終ジャッジを行なっている。
・人事評価の基準がわからない。
→原資配分の考え方があるので、職場上司が戦うかどうかにかかっている。
・退職者が増加しているのに、手を打たない。
→明らかな原因であれば対応できるが、要因が複数ある場合は手を出しにくい。
不満の多くは、人事の対応能力がないことによると思います。その裏には人事は何もやっていない、コストセンターなのに偉そうというイメージがあるからでしょう。
しかし、実際は多くの事務手続きを少人数で行っています。また、偉そうと言えるほど、経営権や人事権は持っていません。人事異動や制度改定もトリガーは結局、職場や経営層です。
人事の現状は慢性的な事務手続きに迫られ、終わりのないループを繰り返していることになります。最近、ERPパッケージなどで業務効率化が進みましたが、その分人が削られ、本来の人事業務にさける人員が不足することも原因にあります。
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人事が『ひとごと』『他人事』になる原因
人事が「ひとごと」「他人事」と言われてしまう原因について解説します。先入観を少しでも緩和できればと思います。
【人事が『ひとごと』になる原因】
・先入観が先行している。
・不満を聞いても解決ができない。
・立場的にバランスを取るしかない。
先入観が先行している
先ずは、人事が「ひとごと」だと言う先入観が強すぎます。人事を担当している方は、人とコミュニケーションをとることが好きな方が多いです。また、従業員の立場で考えようと感情移入もします。しっかり血は通っています。
関わる前から、人事に頼ってもダメだと思うのは寂しいです。また、かなり交戦的な態度の方も多いのが事実です。先入観や人事という立場を度外視して、一人の人間として向き合って欲しいと思っています。
不満を聞いても解決ができない
不満は聞けます。しかし、人事だけで解決するのが難しいケースが多いです。そのため、「ひとごと」だと捉えられることになります。
ですが、おそらく、大抵の人事はこの歯がゆさにうんざりしています。絶対に変更すべき制度も即座に変更ができないからです。
人事も無能ではありません。労組へ申入をして制度変更するには時間がかかります。多くの会議で承認をとり続けなければいけません。そして、制度変更などは年1回の労使協議で行われる以外チャンスがありません。
「今はどうにもならないから来年を期待してください。」
と、この言葉を何度も使った記憶があります。
不満を聞くだけで何も解決できなくて申し訳ないですが、手続きや根回しなどが大変なことは知っておいて欲しいです。
立場的にバランスを取るしかない
人事は法律や規則や内規を遵守するのが仕事です。そのため、社員が望んだことでも、規則になかったり、法律的にアウトなことは止めないといけません。
立場上、そこのバランスを取るのが仕事です。
また、規則は経営層のニーズが大きく反映されます。この制度はおかしいと言われても、上層部が決めたことなので、業務として納得を得てもらうよう説明することしかできません。それが会社の意思だからです。もちろん、要望を集めて変更する提案はできますが、最終的に決定されるかは経営層に委ねられます。
立場上、板挟みで辛くなることは理解をして欲しいと思っています。嫌いだから、筋が通らないからダメと言っている訳ではありません。
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不満は経営層に伝えよう!
不満を直接改善したいなら、経営層に話すのが一番早いです。そして、理解のある経営層なら直ちに人事へ職場の声を反映させます。そうして改革はトップダウンで始まれば早いです。
私が人事を経験している限り、ボトムアップの人事改革はしんどいと思っています。なぜなら、現場の声を人事経由で伝えても、何で従業員を説得できていないのかなどの話題が先行するからです。人事は経営層の決定をうまく伝えてもらわないと困るという議論です。
そのため、2次情報を人事経由で発信するのではなく、1次情報として伝えることは強いです。経営層は厳しくても部長や課長も経営側の人間なので相談してみると良いと思います。
会社に不満を持った方の行動として、「順応」と「抗議」と「退出」がありますが、抗議は人事にして響かない場合、直接経営層に問うてみることが良いと思います。その方が会社としてのスタンスの回答がもらえるので、納得感が生まれるでしょう。
まとめ
人事は「ひとごと」と揶揄されますが、従業員の味方でいたい気持ちはあります。逆に、従業員より、細かな対応ができないことに歯痒さを感じていると思います。そんな人事の気持ちも本記事でわかって貰えると嬉しいです。
また、不満があって人事では解決できない場合は経営層に直接話すことも手段です。そうやって、ダメなら手段を変えて対応していくことが重要だと思います。
ただ、職場を人事に伝えに来てくれる方は、人事的には結構嬉しい行動です!人事は人事の仕事だけで外部の考えをあまり知れないので、雑談でも全然良いので、興味を持って近づいてくれると嬉しいと思います。私自身も、多くの方が業務とは関係なくお話に来てくれて、会社や職場の状況、技術的な内容を教えてくれることが多くて、かなり嬉しかったなと思っています。せっかく同じ会社で働けた仲間なので、人事も仲間に入れて欲しいなと思います。