「転職理由と退職理由は同じ」と考えている方は多いですが、
そこは
目的別に分けて考える
必要があります。これから、転職理由と退職理由の違いを解説していきますので、転職を考えている方の参考になればと思います。
【この記事で伝えたいこと】
・転職理由と退職理由を目的別に考える。
・本音と建前を意識する(嘘も方便)。
Contents
転職理由、退職理由の本音一覧
先ずは、本音が詰まった、転職理由と退職理由を一覧として紹介します。大分類としては、「人間関係」、「会社」、「仕事」、「将来」などが挙げられました。それぞれ、日々、皆さんも感じている内容ではないでしょうか?
項目 | 内容 |
会社 | 給料が低い。 |
評価、人事制度が不透明で納得できない。 | |
風土や文化に馴染めない。 | |
福利厚生が不十分である。 | |
人間関係 | 上司のやり方についていけない。 |
上司の態度が悪い。 | |
パワハラを受けた。 | |
同僚と合わない。 | |
仕事 | ノルマが辛い |
休日が少ない。 | |
残業が多い。 | |
業務内容がつまらない。 | |
将来 | 会社の将来性に不安がある。 |
やりたいことが他にある。 | |
キャリアアップ、スキルアップしたい。 | |
その他 | 会社が倒産した。 |
人員整理が行われた。 | |
親の病気で介護が必要になった。 | |
結婚・出産のため。 | |
体調不良、病気になってしまった。 |
人間関係・上司・パワハラ
近年流行した「アドラー心理学」の考え方でも、
全ての悩みは対人関係にある
と言うように、人間関係は転職、退職を考えるきっかけになります。特に、上司からのパワハラ、部下からの逆パワハラなどは社会問題として取り上げられています。人間関係の悩みは今後も、解決が困難な永久的な課題であることは間違いないでしょう。
給料・残業・非金銭的報酬
「昇給が少ない」、「業績分の報酬を受け取れていない」、「そもそもの基本給が少ない」などの給料が少ない理由は金銭的な報酬の面で転職、退職を考えるきっかけとなります。また、「残業が多いこと」や「休日が少ないこと」で、ワークライフバランスを重視して働けないことも同様です。そして、近年は非金銭的報酬も注力されており、努力が報われる環境、成長が実感できる環境であることも基因となっています。そのため、企業は、金銭的な報酬と非金銭的な報酬のバランスについて取り組むことを余儀なくされています。
キャリアアップ・スキルアップ
「この会社では全てをやり切った」「次はこんな仕事をやりたい」など、若手に多い傾向がありますが、キャリアアップ、スキルアップを考える方は増えています。売り手市場の現状、企業が人を選ぶ段階から、人が企業を選ぶような関係性にシフトしていることになっています。現状、企業、特に採用担当にとって、とても難しい時代なのは間違いありません。
結婚・出産
産休、育休制度は整備されていますが、出産を機に家庭に入りたい方や、結婚を機に給料が良い会社に転職する方、パートナーの近くで働くために転職する方など、ライフイベントを機に退職、転職を考える方は少なくありません。特に、私の周りは「お金に余裕があるなら、家庭に入って主婦をやりたい」という方が多い傾向にあり、この方々を労働力として繋ぎとめることは厳しいと実感しています。
親の介護(家庭の事情)
少子高齢化が進んでいることと合わせ、家族介護も問題となっています。在宅介護としてホームヘルパーを頼んでも、仕事との両立は難しいのが現状です。今後更に、介護事由による離職は加速していくと思われます。企業は在宅制度の整備、個人はリモートでもできるような仕事のスキルアップは必要になる時代になるでしょう。
体調不良・病気
癌などの難病により出社できず、会社を辞めざるを得なくなることや、うつ病などのメンタルによって職場復帰ができなくなることも要因になります。いずれも、個人基因で労務提供が困難になることで、近年、国の指針で両立支援の取り組みやメンタル患者へのケアが進んでいます。しかし、余力がある企業(大手企業)では、様々な施策を導入できますが、中小企業では厳しいのが現状です。直近、健康経営が取り上げられ始めましたが、社員への安全配慮、健康サポートは充実していくことを願っています。
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転職理由と退職理由の違い!
さて、これまでは転職理由と退職理由を同じように考えてきましたが、これからは「違い」について解説していきます。
何故、転職理由と退職理由を分けて考える必要があるのか?
理由は簡単です。転職理由と退職理由を聞かれる対象が異なるからです。転職理由は、転職先の面接で「志望動機と合わせて」聞かれます。それに対し、退職理由は、在籍企業の退職面談等で「退職のきっかけなどの退職経緯と合わせて」聞かれます。
整理しますと、
退職理由
現在の会社に向けてのメッセージ
転職理由
これからの会社に向けてのメッセージ
ということです。この棲み分けを理解していないと、退職面談、転職面接の場面で、相手に理由を上手く伝えることができなくなります。
本音と建前の意識

退職理由と転職理由が違うことを理解したら、次は皆さんの「感じる、考える理由」が「転職と退職」どちらに当てはまっているかの棲み分けと、その内容が「自分自身の本音なのかどうか」を確認することが重要になります。また、本音が固まったら、現在の会社、志望企業へアレンジする必要もでてきます。その作業は「本音の建前化」です。実績があるのになかなか転職が決まらない方や、在籍企業と円満退職できない方はこの建前化がとても下手です。建前化については別途解説するとして、今回は理由の内容について解説していきます。
「不安、不満解消」が結局の理由
退職理由も転職理由も、結局は「不安、不満解消」が理由になっています。例えば、給与が低いから辞めたいという方は、給与が低いという不満があるから退職を決意しますし、会社の方針に従えず辞めたいという方は、会社の未来に不安があるから退職を決意します。つまり、現在の環境にある程度満足していれば、退職、転職は決意しませんし、現在の環境に「不安、不満」があるから、その解消のために退職を決意することになります。
本音にこだわる理由
ここで私が皆さんに確認して欲しいことは、「自分で考えた理由が本音になっているか?」です。「誰かに唆された状態で辞めることを決心してないか?」、「ただの逃げで辞めることを決心してないか?」ということです。あくまで、外野の意見はアドバイスですし、その理由が逃げるための一時の感情かもしれません。自分の本音は自分でしか分かりませんので、それを人に譲渡してしまうと、今後仮に他企業で働き始めてもすぐに流されることになります。逃げるための衝動であれば今後も逃げ続けることが癖になります。自分の本音と真摯に向き合って、他者に左右されないよう大切にするようにしましょう。
嘘はバレるのか?
転職理由や退職理由の嘘は、基本バレることはありませんが、嘘も方便という言葉があるように円満退職、自己PRの観点から、建前をしっかり意識することを推奨します。そもそも、転職理由や退職理由は、個人の感情や価値観を含んでいますので、他人が理解することは困難です。しかし、退職する会社に対して、「上司が無能、給与が低い、評価に納得できない」などをお話しても感情論の問題で、喧嘩別れになることになるでしょう。少なくとも何かしら学べたことや成長できたことはあるはずですので、感謝の気持ちは忘れずに大人の対応ができるように心がけましょう。そして、志望企業に対しても、「給与が低かった、上司が無能だった」などの環境を理由にお話しても何のPRにもなりません。上記でもお話しましたが、転職理由も退職理由も会社に向けたメッセージです。メッセージということは、相手にどんな影響を与えたいか、どのような印象を持ってもらいたいかなど、受け手の気持ちをしっかり考慮するようにしましょう。本音で話すと角が立つ、損する部分はありますので、「嘘も方便」ということで、本音の建前化を必ず行いましょう。
まとめ
転職理由と退職理由は別物と考えましょう。「転職理由はこれからの会社に向けたメッセージ」、「退職理由は現在の会社に向けたメッセージ」という棲み分けを持って、本音と建前を意識して理由付けができると良いでしょう。